血漿分画技術
医薬品製造技術の進歩、特に分画技術の向上に伴い、人血漿を原料とする製剤がさまざまな疾患の治療に活用されるようになりました。免疫不全症や遺伝子異常といった疾患は世界的に増加傾向にあり、血漿分画製剤の需要は今後も増加が見込まれます。このような世界的需要に対応するため、医薬品メーカーは高品質で安全な製剤を大量に生産する必要に迫られています。
用途
人の血液の半分以上を構成する血漿は、さまざまな物質を運搬する役割を担っています。タンパク質、抗体、凝固因子を豊富に含み、血漿分画製剤として多くの疾患の治療に役立てられています。
主なタンパク質として、アルブミン、免疫グロブリン、フィブリノゲンがあります。
- アルブミン
重度の外傷などの治療に使用されます。 - 免疫グロブリン
抗体として、破傷風、狂犬病、肝炎などの予防に使用されます。 - フィブリノゲン製剤
血液凝固を助けるために使用されます。
血漿とは
血漿画分の抽出と分画製剤の製造
人血漿から遠心分離、深層ろ過およびクロマトグラフィー法によって各成分を抽出します。希少かつ高価な資源である人血漿を無駄にすることなく、安全で有効な医薬品を製造するため、効率的な製造工程が必要です。
血漿分画製剤の製造工程は、融解、充填から凍結乾燥またはパスツリゼーションまでの複雑なプロセスで構成されます。当社はバリューチェーン全体を通じて、高度な要求事項を満たし、幅広いニーズに対応する技術を提供しています。
凍結血漿融解システムでは、せん断感受性の高い原料を緩やかに解凍します。
豊富な実績に基づき、血漿分画製剤、ワクチン、抗がん剤の合成および製剤化を行う効率的なシステムを提供しています。
インライン検査から完成品検査まで、定評ある技術で外観異物検査およびリーク検査(CCIT)を行います。
エアフローを最適化したシステムにより、安定した温度を維持して最終的な加熱処理を行います。
製品特性に応じた技術を採用し、低速~高速まで幅広い能力に対応して、感受性の高いタンパク質を安全に充填します。
均一な温度を維持しつつ、特許取得済みのローディング・アンローディングシステムによって正確な処理と凍結乾燥を行います。
当社の実績ある限外ろ過、深層ろ過およびクロマトグラフィーシステムで血漿の分画・精製をサポートします。加熱処理によるウイルス不活性化、多段階の酵素処理による精製など、総合的な製品ラインアップを提供します。
融解・分画
シンテゴンの子会社Pharmatec社は、お客様の具体的な要求に幅広く対応する融解・分画設備を提供します。同社は設計と実装における数十年の実績と高い技術水準をもち、低せん断撹拌装置を採用した特殊な融解システム、遠心分離機、ろ過システムなど、高精度で効率的な工程を構築します。すべてのシステムで効率性を追求し、メンテナンス・清掃時のアクセス性にも優れています。CIP/SIPシステムでは、再循環によって資源と洗浄メディアを経済的に使用することが可能です。ピュアメディアシステムは幅広い殺菌方法に柔軟に対応します。さらに、広範な専門技術を活かして、血漿分画製剤ラインにCIP/SIPとNaOHの両ユニットを統合することができます。
精製・製剤化
Pharmatec社の定評ある製品ラインアップとパートナー企業の高性能機器を統合して、精製工程を構築します。同社はウイルス不活性化および最終精製に対しても幅広い技術を提供します。精製後の製剤化工程では、感受性の高い血漿画分の品質を維持しながら、さらに処理を行います。Pharmatec社の設備はすべて完全自動化され、重要な品質パラメータの連続モニタリングが可能です。CIP/SIPシステムは一体型または外付けシステムとして提供され、精製水、WFI、ピュアスチームを用途に応じて使用します。さらに、当社はシステムや工程のラボ試験を含む総合的なコンサルティングサービスを提供しています。その一環として、お客様のご要望に応じたメンテナンス戦略も策定します。
充填・打栓
アイソレーター搭載型のコンパクトな設計で、低能力~高能力まで幅広く対応する柔軟な充填システムを提供します。ALFラインでは1台の充填機でさまざまな充填技術の搭載が可能です。タイムプレッシャー方式は充填量が大きい場合に適しており、最大12本立てのペリスタルティックポンプはせん断感受性の高い製品を丁寧かつ高精度に充填します。最新の「Max Pro」シリーズでは、オプションとして「ツイン充填」をご用意しています。「ツイン充填」では、メインの充填、追加充填と100%インプロセスコントロールによって最適な充填重量をいつでも再調整できるため、製品収率の最大化が可能です。追加充填では、Dose-in/Dose-outと払い出し運転を秤上で行うことで高い収率に貢献します。プランジャー挿入の後付けも可能です。
凍結乾燥
血漿分画製剤の製造工程の中でも、凍結乾燥は長い処理時間を要するステップであり、サイクルタイムは数日間に及ぶことも珍しくありません。そのため、製薬企業は、信頼性が高くモニタリングされたプロセスを確立することが求められます。当社は温度や流量などの重要なプロセスパラメータを正確に制御する、最新のセンサー技術を備えたGMP適合の凍結乾燥機を提供します。均一な温度で一貫した処理を行うため、高品質の製剤を安定的に生産できます。特許取得済みのローディング・アンローディングシステムでさまざまなサイズ・形態の容器を正確にハンドリングし、凍結乾燥を行います。さらにCIP、SIP、フィルター滅菌、WIT(ウォーターイントルージョンテスト)などの改善された二次プロセスにより、エネルギー、時間、リソースの節約が可能となり、長期間にわたる製造サイクルでも、経済的かつ医薬品としての安全性を確保した生産が実現します。
検査
良品誤検知を抑え高品質の血漿分画製剤を生産するには、最新の検査技術が必要です。当社は広範なバイアル形状に対して、インライン検査および最終製品検査を行う総合的な検査システムを提供します。当社のシステムでは、液剤または凍結乾燥製剤のリーク、混入異物および外観不良の検査を行います。AIMシリーズなどの最新シリーズは、外観異物検査とリーク検査(CCIT)を1台の検査機で効率良く行うことができます。Static Division(SD)技術によって混入異物を正確に検出し、ヘッドスペース分析(HSA)によってリーク検出を行います。
パスツリゼーション
シンテゴンの子会社Schoeller-Bleckmann Medizintechnik(SBM)は、詳細なシミュレーションに基づいて、蒸気/空気を混合した流体を使用する方式や熱水シャワー方式など、幅広い処理方法を採用して各製品の特性に適したパスツリゼーション(液状加熱)システムを設計します。プロセスパラメータを厳密に調節し、一定温度(60°C±0.5°C)を維持することにより、アルブミンなど感受性の高い血漿タンパク質を変質させることなく安全に取り扱います。柔軟に調節可能なレシピエディターで個別の工程を細かに設定し、厳格な品質基準を満たす製品を生産します。
製品に関するお問い合わせ
当社のソリューション
アイソレーター & バリアシステム
充填機や除染装置と一体型のシステムとして設計・開発し、現地での据付からバリデーションまで、スムーズでスピーディーな生産立ち上げをサポートします。アイソレーターをはじめ、RABS、封じ込めシステムなどをご用意。
注射剤の検査技術
液剤をはじめ、高粘度製剤、凍結乾燥製剤などの外観不良や異物を検査する自動検査装置を提供しています。また外観検査機に、リーク検査を搭載したモデルでは、CCIT(容器完全性試験)にも対応します。
Freeze dryer
Our freeze dryers ensure homogeneous temperatures, while the patented loading and unloading system enables precise processing and lyophilization.